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大人から始める津軽三味線

一生楽しめる楽器と、教室・初心者の心構え

「大人になってから、何か楽器を始めてみたい」――そんな方に、津軽三味線はとても向いています。ここでは、一人で一生楽しめる楽器としての魅力、初心者が感じる不安への向き合い方、教室の選び方、そして「もっと裾野を広げたい」という私の思いまで、まとめてお話しします。

1. 大人が一人で一生楽しめる楽器とは

大人になってから何か楽器を習いたい方には、「一人で楽しめる楽器」が良い、という話をします。

子供から学生時代は時間が自由で余裕があるので、バンドや楽団の楽器でも頻繁にメンバーが集まって楽しめます。反面、一人では完成形になりません。それぞれの楽器がパートを担当し、全員集まって一つの曲になるので、個人練習しているときは未完成のままです。

学生なら部活で放課後に毎日集まれますが、社会人になるとなかなか集まれません。そうすると、音楽にならないパート譜を延々と練習することになり、少し虚しい状況になったりします。一人で人前に披露するわけにもいかず、完成した音楽を楽しむ機会が少なくなってしまうのです。

ですから、大人になって始める楽器は、一人で成立する楽器が向いていると思います。一人で演奏できれば、一人で楽しめるし、人前で披露できるし、失敗も成功も上達も、すべて自分のもの。

必ずしも津軽三味線でなくてもよく、ピアノやクラシックギターなど、歌が無くても一人の演奏で十分に楽しめる楽器であれば向いていると思います。

その中でも津軽三味線は、一人で上達の過程を楽しみながら、人前で気軽に披露する楽しさを味わえます。しかも、興味を持って見てくれる年齢層がとても広い。子供や若者からお年寄りまで人気があり、真剣に観てもらえるのが、演奏していて特に楽しい点です。

大概の音楽ジャンルは年齢層との相関があります。ロック系は若い層、クラシックは大人、演歌・民謡・純邦楽系はお年寄り、ジャズは洋物好きの高年層、フォークソングは団塊の世代――というように、多少の例外はあれ、概ね偏りが見られます。

また、和の伝統芸能系は世代だけでなく、外国の方が「観たい・習いたい」と興味を持ってくれる、グローバルな広がりを持ち始めた点も楽しいところです。世界的な視野で見れば、洋楽を演じていた頃には感じた引け目も、和の文化を演じている限りはありません。こちらが本物ですから、胸を張って演じることができます。

ですから津軽三味線は、大人になってから始めるには、難しいけれど挑戦するに値する、奥の深い「一人で楽しめる楽器」だと思います。少しずつ身に付く感覚が分かるのも楽しいものです。習ってみたい方は、当教室(澤田)までご相談ください。

2. 「上手じゃないのに見られて恥ずかしい」――個人レッスンという選択

三味線教室を探す初心者の方にも、いろいろな方がいます。その中で、うちの教室を選んでいただく理由の一つが、個別スタジオでの個人レッスンです。

普通の津軽三味線教室は、たいてい公民館など公共の場所の部屋を借りて運営しています。一つの部屋に次々と習う人が集まり、順番にお稽古をするので、上手な人が周囲にズラっと並んでいる状況で稽古することになります。

始めたばかりは上手に弾けないので、どうしても周囲に人がいると恥ずかしいと思ってしまうもの。実際、その後みんながアドバイスしてくれて、いい面もありますが、いちいち上からのアドバイスで、正直ウザかったりもします。

その点、当教室は個別スタジオで個人レッスンをしますので、お稽古に集中できます。

「それでは孤立して、知り合いができないのでは?」――それも大丈夫です。あえて参加する必要はありませんが、ご希望なら、たまにある飲み会や、練習のためのイベント、ライブコンサートのお手伝いなどに参加すれば、すぐに仲間ができます。そうした友達とLINE仲間になって、三味線ライブを見に行ったりして楽しんでいます。

この防音室は、教室所有の建物内に10年前に作り、ようやく個別レッスンが可能になりました。会員は、教室の営業時間内で空いている部屋を、無料で個人練習に使っていただけます。ただ待っているだけではもったいない。たとえばロンドンから来ている留学生は、毎回お稽古の1時間前に来て、防音スタジオで思いきり個人練習してから稽古をしています。

3. 教室の選び方 ―― 大久保津軽三味線教室の良いところ

今や津軽三味線教室は、全国にネットで検索すると相当の数があります。それぞれに特徴がありますが、探している人はどこを見れば良いのでしょうか。

それには、まず「自分が何を求めているか」から考える必要があります。教室には、習う・教えるというソフト面と、設備としてのハード面の両方の機能があります。今日は、その両面から見た条件を、当教室の紹介を兼ねて記述してみます。

カルチャー教室

駅前の一等地に素晴らしい設備で運営されていますが、あらゆるジャンルの教室を詰め込んでいて、全体で数千人規模が普通です。単位時間あたりに入れる人数が10人以上のことが多く、一番手軽で安いですが、楽器のように個人ごとに進度がばらつくと、一人にかける時間がなく、あまり教えてもらえないなど、ほぼお試し体験程度と考えた方が良いです。先生の収入があまりに安く、すぐ辞めてしまうケースや、安さを補うために楽器購入を執拗にすすめる、といった話も聞きます。

先生の自宅で数名程度の教室

実績は少ないけれど自宅で先生を始めたケース。演奏技量はそれほどでない場合もありますが、時間的に余裕があるので、面倒見のいい先生に当たればとても良く教えてくれると思います。ポイントは先生の人柄に尽きます。ただ、人間関係が密になるので辞めにくい場合もあります。費用面も先生の人柄次第です。

演奏家の、公共施設などでの間借り教室

現在開設されている教室の殆どがこれで、演奏家が自宅以外の一室を借りて運営しています。よくあるのが公民館や、お弟子さんの個人宅の一室を稽古場として使わせてもらうもの。公民館は予約が取れないことがあったり、個人宅は不幸があったり辞めたりすると、その場所で稽古が終了してしまうなど、状況が安定しないケースがあり、それが原因で他の人まで続かなくなる、といった話も聞きます。

楽器の設備がないので手ぶらで行けない、休んだ振替が無理、などの難点もあります。数年先にそこにあるかどうかは微妙、と考えた方が良いでしょう。演奏家の自宅本部はその点はOKですが、ご家族がいるので人間関係が面倒だったりします。ワンレッスン数万円や、見えない付帯費用の追加で月額数万円のケースもあり、演奏家のランクで月謝が高い場合も。「お礼」という名目の集金なども多々あります。

企業系音楽教室の津軽三味線科

企業系なので設備・場所は一流です。大きな駅前ビルの1フロアを使い、フロント・ロビー・防音室を備えています。宣伝も凄いので、常に満員に近い状況。したがって「休んでも振替自由」とうたっていても、なかなか取れないとはよく聞きます。

そのほか、「楽器プレゼント」がちっともプレゼントではない巧妙な契約だったり、ブラック企業体質で先生が定着せず、常に好条件で募集していたり――そんな話が、演奏家同士で伝わってきます。企業ですから、企業収益を最優先に、先生を社員またはバイトとして雇って経営されています。

演奏家経営の恒久常設教室

恒久常設教室として運営している教室で、「教える」というソフトだけでなく、建物・防音室・楽器・道具などのハード設備も備えています。消耗品の購入や簡単な修理もその場で対応でき、防音室もあり、常設なのでいつ行っても教室があります。

この「場所がある」ことはとても重要で、特に上達してからの演奏活動では、打ち合わせ・リハーサル・練習会・勉強会・唄の教室など、お稽古以外のみんなが集まる場所として機能します。また防音室は初心者に優しい。周りで上手な人に見られないので、安心して稽古に集中できます。

これが当・大久保津軽三味線教室のケースです。おそらく専門教室ではここだけで、その割に月謝も安く、その他の追加費用負担は永久に一切無いなど、バランスの取れた「いいとこ取り」の教室です。

4. もっと裾野を広げたい

入門三味線、1万円でできませんか?(木工業界の方へ)

今ある入門用の津軽三味線は、最低価格が5〜6万円です。でも、始めてみようかと思った人が、思い付きで衝動買いできる程度の楽器が必要だと思うのです。子供でも、お小遣いやお年玉で買える程度の金額――その価格は1万円以内だと思います。入門用のエレキギターができて、三味線ができないわけがありません。

これを見ている方、特に木工関係の方(楽器業界だと既存業者に遠慮が入るので)、お願いします。機能だけあれば、練習用と割り切って天神の細工は必要ありません。糸巻きは金属ギヤでかまわないし、材質は針葉樹でも、指板だけ固ければ大丈夫。何なら金属やポリカーボネート板張りで結構です。胴の丸みの細工も、単純な直線でいい。人前で演奏することを前提としない、練習用だからです。

弦が張ってあって胴の中が空洞なら、皮でなくても弦楽器の音は出ます。どうせ5〜6万の楽器でもいい音は出ないのだし、音色を言うなら高いものが必要なのが楽器の世界。空洞の具合を調節すれば、サイレント練習楽器になります。ドラムにも、そういうアプローチのセットがありますよね。

まずは興味の裾野を広げること。これがなければ、その上には行きません。入門者がいなければ、楽器が売れるわけがない。「楽器が売れない」とお嘆きの楽器屋さん、ぜひ教室の生の声を聞いてみてください。入門用エレキギターの価格で、単純な直線加工の入門用津軽三味線を作ってください。手になじんで、本物と同じように弾ければOKです。

儲からないかもしれません(でも、安い材料で細工を単純化すれば、意外と儲かると思います)。それでも、将来高い三味線を買う人を増やすために、ぜひご検討いただけませんか。演奏上、最低限なにが必要かなど、教室としてできる限りご協力します。ぜひご相談ください。

犬の皮と合成皮 ―― 国際化の中での課題

先日、教室見学の方が来ました。外国で津軽三味線を習っていたそうで、最近2人目のこういう経験者です。

津軽三味線も国際化してきたのか? まだまだそんな状況ではないと思いますが、外国に先生がいるのは確かです。知っている限りでは、アメリカ・オーストラリア・イギリス。中国や台湾あたりにもいそうですが、確かなことは分かりません。

外国で三味線を買うには、和楽器屋さんがあるわけもないので、日本から送ってもらいます。船便だと1〜2か月かかるそうです。ここで問題は犬の皮です。やはり犬の皮は、特にヨーロッパあたりでは抵抗がありそうです。象牙も鼈甲も問題がありそうですが、特に津軽三味線は、上等な犬の皮が無いといい音が出ないので困ります。

そこで、いろいろな合成皮が開発されているので、良いのができたと聞くと試しています。最近できたある合成皮を試したときは、ちょうど私ともう一人、実力派の有名演奏家がいたので、自分で弾いた音以外に、客観的に正面からの音色評価もできました。

結論は、私も彼も「ん〜、今までの合成皮とあまり変わらない感じ。もっと張ればいいかもしれないが、合成皮は張っても良くなるとは限らないし、どうだろうか」という評価でした。

将来、外国で三味線は犬の皮がネックになる可能性がある、とはよく言われます。ですが、いまだ犬の皮に匹敵する合成皮は存在せず、代わりとして何とか使えるというレベルにすらない、という印象です。合成の音は一言でいうと「単純・軽い・細い・小さい」、天然皮は「複雑・重い・太い・大きい」音がします。波形はほぼ同じようですが、人の耳は波形に表れない違いを聞き取ります。比較すれば、三味線奏者でなくても、良い音はどちらか分かります。

合成は、布のような均一な工業製品である以上、均一に振動するので、複雑な音にはならないのでしょう。ランダムな表面状態の素材でないとダメなら、少なくともランダムにする加工が必要な気がします。その加工で音色が変わる状況が分かれば、最善の方法が見つかるかもしれませんし、「何をやっても素材自体がダメ」という結論が出るかもしれません。

良い音とは、心に響く音です。「単音でも心地よく響くのはどっちか」という聞き方をすると、比較ならほとんどの人が同じ結論を出します。そういう結果が出ているうちは、まだまだ。「ばらついて好みの問題」という結論が出れば、ようやく同等ということになると思います。津軽三味線の演奏家は音色を究極に探究しているので、そこそこの音色では本番の使用に耐える価値を見いだせないのだと思います。今後、良いものが開発されるといいですね。

シニアにも、ぜひ挑戦してほしい

最近、津軽三味線の動画がYouTubeにたくさん上がっています。レッスン動画もいっぱいありますね。動画では若い人が多いような気がします。

でも実は以前から、津軽三味線を始める人は、子供や若い人も多いですが、シニア世代も結構いたのです。動画で見る限りでは「若い人の文化なのか?」という印象ですが、そんなことはありません。

三味線の上達過程にはいろいろな楽しみ方があり、少しずつ実感できるところが楽しいのです。だから、超絶技巧のような演奏がすぐにできなくても、飽きずに続けられます。

シニアの稽古風景
シニアの稽古風景

ですから、シニア世代から始めても十分に楽しめる楽器です。興味のある方は、ぜひ挑戦してみてください。

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※無理な入会勧誘や楽器の販売などは一切ございません。

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